本物の古民家が大復活!土壁塗り体験に子どもたちが大はしゃぎ♪

「昔ながらの古民家」と聞いて、どんな家を思い浮かべますか?
茅葺き屋根に土の壁、すべてが自然のもので作られていて、木と土と紙の温かみにあふれている。そんな感じでしょうか。

ですが令和の今となっては、そんな古い家は昔話の中だけの存在になってしまっ……

……ては、いません!!

実は、高千穂町に建っていた茅葺き屋根の古民家が、新富町の旧上新田小学校跡ににただいまお引越し中!
新富町・一般社団法人全国古民家再生協会・こゆ財団が協力し合って進めているプロジェクトです。

せっかく町に昔ながらの家がやってくるのですから、どんなふうにできているのか間近で見られたら楽しいですよね。
というわけで、2月2日にその古民家の土壁塗り体験会が開かれました!

はるばる日向市から参加してくれた仲良し3人組。
まだ寒い朝でしたが、始まる前から元気に現場を探検していました。

まずは土台作り!

土壁を塗る前に、その土が乗る下地を作る必要があります。
ここで登場するのが「竹小舞(たけこまい)を掻(か)く」という作業。

縦横に「小舞」と呼ばれる細い竹の板を組み、麻縄で結わえて編んでいきます。
地域によっては「竹小舞を編む」「小舞掻き」と呼ぶところもあり、
かつては農閑期にご近所さんが集まってやっていたような気軽な作業なのだそうです。

裏側から見ると、光が差し込んできてなかなか雰囲気がありますね。
これだけでも見事なもので、上から土を塗ってしまうのが少しもったいないほど。

土+ワラ=ふしぎな匂い!

土壁塗りに使うのは、ワラを混ぜて醗酵させた赤土。
1週間に1〜2回ほどの頻度で攪拌(かくはん…かき回すこと)を繰り返し、数ヶ月〜1年ほど寝かせておいて作るものだそうです。
混ぜ込まれて 醗酵し、ほぐれたワラの繊維が土の粒と絡むことで、なめらかで崩れにくい、丈夫な壁のもとになるんだとか。

さらにここに水を足しながら機械で混ぜ合わせます。
聞いてみると、今回使った土は半年~2年寝かせたもの。
これはきれいな壁が作れそうです!

機械のかたわら、手作業で土を混ぜる子供たち。
醗酵した土のため、匂いも独特。「不思議な匂い!」「普通の土と違う!」「くさ~い!」と賛否は様々でしたが、今ではめったにない泥遊びの機会! 思い思いに柔らかい粘土の感触を楽しんでいました。

いよいよ子供たちの出番!

お昼休憩をはさみ、いよいよメインイベント・土壁塗りの時間です!
さっそくコテとコテ板を手にした子供たちの前に、文字通り壁が立ちはだかります。
ギュッと力を入れて伸ばさないと、置いたそばから土がボロボロと剥がれ落ちてしまうのです。
職人さんにアドバイスを受けながら「思ってたより難しい!」と一生懸命塗っていきます。

コツは木舞と木舞の間に土を押し込むように塗り込むこと。
中には、「前にもやったことがある!」と左官職人さん顔負けのコテさばきを披露してくれた子も。

最後は自由に!

道具の扱いにもだいぶ慣れ、ようやく壁の半分ほど塗れたところで、子供たちに一つ降りかかる問題が。

「重~い!」「腕がつかれた!」

そう、土壁塗りの道具は大人と同じ大きさな上、湿った土をどっさり乗せているわけですから、かなり重たいのです。実際に持たせてもらいましたが、確かにこれを長い間持っているのはきついかも…
ですが、そこは柔軟な子供たち。一人がひらめきます。

土を手に取って…壁に「えいっ!」

壁にくっついた土を剥がれ落ちないように手で押し込んだら、仕上げはお父さん。コテで丁寧に伸ばしていきます。
でも、こういう塗り方ってアリなんでしょうか?

「もちろん! 昔の民家を作る時も、子供たちが土壁塗りに参加していたことがよくあったそうですが、やっぱりこんな風に投げたり手でくっつけたりする手伝い方だったそうですよ。今回も楽しくできることが一番だし、『面白かったな』と思い出もできますしね」

そう教えてくれたのは古民家再生協会の坂口さん。

塗り終わった土壁を裏から見るとこんな感じ。
こちら側も後日土が塗られるそうです。
ギュッと土を詰め込んでいるので、寒い時期もあたたかく過ごせそうですね!

子供たちに感想を聞いてみると、
「家ができていく感じがわかって楽しかった!」
「最初は難しかったけど、だんだんできるようになって面白かった!」

と笑顔で答えてくれました。

この土壁塗り体験には、今年1月にも新田学園小学部の生徒たちが参加しています。慣れない作業に汗をかきながらやはり頑張ったそうです。

土壁塗りを楽しむ子供たち(新富町役場Facebookより)

この古民家は今年完成予定とのことで、次年度には観光や体験学習・教室などの拠点になると考えられています。
みんなで塗った土壁に囲まれて過ごす時間はとても楽しそう!
完成が楽しみですね。