新春を彩る日本舞踊の発表会—「第11回新富初舞会」

梅のつぼみがほころび始める新春の休日、華やかな日本舞踊の発表会「第11回新富初舞会」が、1月13日(日)新富町文化会館大ホールにて開催されました。

同館の自主文化事業として11年前に初開催。以来、新富町を中心とした西都・児湯地区の舞踊家やその生徒たちが、日ごろの稽古の成果を発揮する機会として毎年この時期に開催されています。

会場となった新富町文化会館

会場に入り、チケットを提示するとお茶と茶菓子の振る舞いが受けられます。振る舞うのは、新富町の40〜80歳代の16名からなる茶道グループ『つわぶきの会』。着物姿の女性たちからのおもてなしに、来場者たちはほっこりとくつろぎの時間を過ごします。

また会場前にはお菓子や軽食なども並び、来場者たちは地元グルメを楽しみつつ開演を待っていました。

『つわぶき会』によるお茶の振る舞い

8つの団体が披露する、歌と舞踊の和の世界

日本舞踊は、いわゆる伝統芸能としての古典舞踊と、演歌や民謡など現代に馴染みのある曲に自由に振り付けをして舞う新舞踊があります。細部に至るまで研ぎ澄まされた所作が美しい古典舞踊は、日本古来の上品さが漂い、見るものの心をぐっと引きつけます。また、新舞踊には演劇的な面白みがあり、親しみを感じる音楽と踊りのコラボレーションが楽しめます。

出演するのは、6歳から80代までの日本舞踊愛好家たち。華やかな衣装をまとって、音楽とともに優雅に舞います。師範の先生方の踊りを観賞できるチャンスということもあり、毎年新年の楽しみにしている観客も多いとか。また、身近な人たちが出演するため、知人たちの晴れの舞台を見ようと多くの来場者が会場に足を運びます。

今年の出演団体は以下の通り。

藤間流 亀之輔会(代表/藤間 亀之輔)

松川流弘派 寿恵弘会(代表/松川 弘華)

松川流弘派 喜代香会(代表/松川 喜代香)

松川流弘派 寿瑞の会(代表/松川 寿瑞)

松川流弘派 樹之樹会(代表/松川 樹之樹)

小波流 寿桃会(代表/小波 寿桃)

猿若 結圓会(代表/猿若 結圓)

吟剣詩舞道会(代表/松川 岳匠)

いよいよ、開演! 多彩な演目に拍手喝采

正午12時、開演のアナウンスが流れます。

緞帳(どんちょう)が上がり、音楽と舞いが始まると、うっとりと見入る観客たち。華麗であり、そして力強い日本舞踊の世界は、初心者の心にも染み渡ります。

トップバッターは藤間流亀之輔会の藤間藍亀穂さん『長唄・七福神』
松川流弘派寿瑞の会の片山奏くん・6歳。今回は『関の小万』で女性の舞に挑戦
小波流寿桃会の岩下俊雄さんによる『男花』
松川流弘派寿恵弘会の松川弘華さんによる『おとこ傘』

驚いたのは、最年少出場の6歳の男の子。朱色の衣装と花笠で舞う姿は、とても男の子とは思えない可愛らしさ。最後まで女の子と思って疑わなかった人も少なくないのでは。

もう一つ驚いたのが、照明や舞台の大道具が本格的で、一つひとつ演目に合わせて違っていること。この素晴らしい舞台で稽古の成果を発揮できるとあって、出演者たちはきっとドキドキ、ワクワクしながら練習を積んできたことでしょう。

多彩な演目、華やかさを添える舞台演出で、3時間30分の開演時間もあっという間。31のプログラムが無事に終了しました。

初舞会とともに成長“松川流弘派” 「日本舞踊をもっと広めたい」

松川流寿恵弘会の松川寿恵弘先生(写真・中央)と同派師範の先生方

今回、全演目の3分の2を占めていたのが、4つの会からなる“松川流弘派”の出場者たち。お家元の松川寿恵弘(まつかわ・じゅけいこう)先生と、先生の弟子であり師範の先生3人がそれぞれにもつ会から多数出演し、初舞会を盛り上げていました。

「この初舞会は生徒たちにとって、1年間の練習の“おさらい会”のようなものです。12月は休みなく練習にはげみ準備してきました。大道具や照明など、素晴らしい環境で発表できるので、参加者一同大変喜んで参加させていただいているんです」と寿恵弘先生。

第1回目から参加し、流派としても会員数を増やし成長させてきた“松川流弘派”の先生方に、これからの目標を尋ねると、

「一人でも多く、仲間を増やしたい。初心者でも気軽に始められるし、着付けもできるようになります。興味のある方はぜひ一緒にやってみませんか?」

と声をそろえます。

日本舞踊愛好者たちの発表会であり、日本舞踊の魅力を伝える絶好の機会でもある「新富初舞会」は今年も盛会に終えることができました。住民たちの娯楽、ふれあいの場として、これからも大切にしていきたいイベントです。