きっかけがある喜びを!テゲバジャーロ宮崎・柳田和洋さんに聞くクラブの過去・現在・未来

ピンクと白を基調にしたエンブレムが珍しい、宮崎のサッカークラブ「テゲバジャーロ宮崎」。児湯郡新富町と宮崎市をホームタウンに「宮崎からJリーグ入りを!」という目標を掲げており、県民の期待を集めています。
そんなテゲバジャーロ宮崎、通称「テゲバ」の取締役GM・柳田和洋さんにお話を伺いました。

門川町で生まれ育ち、自らもJリーガーを目指していた柳田さん。小学生からサッカー一筋で、県リーグのチームに加入していた20代の頃は2年連続得点王に輝く活躍も見せていたそう。
その後、ユニフォームを脱ぎ、小学校時代の恩師が関わっていた地元の「門川クラブ」に、監督として加入。その門川クラブこそ、現在のテゲバジャーロの前身だったのです。
門川クラブは日向地区リーグから九州リーグへ昇格していく間に何度かチーム名を変え、2015年に「テゲバジャーロ宮崎」としてスタートしました。

柳田さんがクラブの代表に就いて4年。これまで150を超える企業にスポンサーを依頼するなど、チームの基礎を固めることに心血を注いできました。
個人としても JFA ( 日本サッカー協会 )公認B級指導者資格を取得するほか、同協会の人材育成講座「スポーツマネジャーズカレッジ」を修了するなど、組織を運営していくためのスキルを身につけていったそうです。

そして2015年1月、テゲバジャーロ宮崎は「スポーツの力で宮崎をもっと元気に」と、宮崎県初のJリーグ挑戦を表明しました。

「Jリーグって、今のプロ野球と一緒で結構ハードルが高いんですよ」と柳田さんは話します。J1からJ3まで、現在は55チームがしのぎを削っているそう。
「そんな中、宮崎は九州で唯一、Jリーグチームがない県。プロスポーツもなかなか根付かないだろうと言われていて。でも、同じ規模の県でも成功しているところはあるんです。だから『必ずやれるはず』と考えて目指しています」

一言一言が力強い柳田さん。その目に熱い炎が宿っているのが見えました。

目的があれば熱量も上がる

-ホームタウンとなっている新富町ですが、どんな印象ですか?

お世話になっている行政や商工会の方など、総じて人柄が温かいですね。練習はよく富田浜のグラウンドでやっているんですが、練習帰りに選手たちとながのうどんさんに食事に行くと、「大盛無料やから食べていきない!」って言われたり。皆さん、親身になってくれますよ。

町内のお祭りやイベントに出ると喜んで貰えるので、少しずつではありますがご当地チームとして根を張っていけているように感じます。

最近ではテゲバジャーロのシャツを着ている人や、テゲバジャーロののぼりが立っているのを見かけることも増えてきたので、新富町という地域で盛り上がろうとしているのも感じています。

- 今後、宮崎に「テゲバ」を根付かせていくために、どんなアクションを考えていますか?

お客さんに「良かったね」と言い合ってもらえるようなプレーをすることはもちろんですが、普段あまりサッカーに触れない人にもどれだけ関心を持ってもらうかですね。
2020年には新富町に収容人数5000人、J3規格を満たした大きなスタジアムも完成する予定です。そこでの試合に県外のサポーターがやってくることで新富町の関係人口も増え、全国規模の認知度にも繋がるでしょう。
そうやって盛り上がっていけば、町全体でだんだんそのスポーツが身近になってくる。つまり「非日常が日常になってくる」ということです。

宮崎の人って、「週末どこ行く?」ってなったらだいたいイオンじゃないですか(笑)。新田原基地の航空祭も「今年もこの季節が来た!」って出かけていくから、毎年すごい来場者数ですよね。
そういったお出かけ先の中に「サッカーを見に行こう!」という新たな選択肢の一つとして浸透できたらと思うんです。

目的があれば熱量も上がります。「今日のサッカー良かったね!」と家族や友達同士で言える休日の娯楽の一つになれば、地域全体で大きく盛り上がるでしょうね。新富町は自然も食文化も豊かないい場所なので、その良さと併せて発信していきたいです。

100年続くチームを目指して

現在、テゲバジャーロ宮崎は「JFL(日本フットボールリーグ)」に所属しています。このJFLからJリーグへと上がるには、公共性の高いクラブチームだけが認定される「百年構想クラブ」に選ばれる必要があります。

認定の条件は「街とクラブが共に100年続く」こと。
今年、テゲバジャーロ宮崎はついにこの「百年構想クラブ」に認定され、2021年のJリーグ入りを目指すスタートラインに立ったそうです!

「ご当地チーム」の躍進に、これからますます盛り上がっていくであろう宮崎のサッカー文化。スタジアムの完成も楽しみですね!