「児湯」(こゆ)って何? 地名の由来になったとある神様のお話
宮崎県中央部には、新富町を含む6町村からなる児湯郡(こゆぐん)という郡があります。
その中のひとつである新富町が設立した地域商社「こゆ財団」は、新富町だけにとどまらず児湯郡全体をワクワクするまちにしていこう!との思いで「こゆ」を名乗っています。
幼児の湯と書いて、児湯。
「児湯」というこの珍しい地名は、日本神話に登場するコノハナサクヤヒメが、我が子の産湯にこの地の水を使ったという逸話に由来しています。
この池は、6町村と隣接している西都市(さいとし)ということろに実在しています。あるのは湯船ではなく、池。その名も「児湯の池」といって、ほとりには案内看板が立っています。
この池を我が子の産湯とされたのが、先ほどのコノハナサクヤヒメ。
天孫降臨されたニニギノミコトが一目惚れしたという、たいそう美しい姫だったといわれています。
二人はめでたく結ばれ、サクヤヒメは懐妊します。しかし、ニニギノミコトはあろうことか出産を控えたサクヤヒメに「本当に自分の子なのか?」と疑いをもちます(ひどい話…)。
すごいのはここから。これに傷ついたサクヤヒメは「あなたの子だとしたら、たとえ火の中でも元気に生まれてくるでしょう!」と出口のない産屋にこもった上、なんとその場に火を放ったのです。ファイヤー!
そうして炎の中で無事に三人の皇子が生まれました。その皇子たちの名をホデリノミコト、ホスセリノミコト、ホオリノミコト。
ホデリノミコトはのちに海幸彦、ホオリノミコトは山幸彦としても知られるようになる神様です。
そんななんとも壮絶な出産のあと、三人の皇子の産湯として使われたのが「児湯の池」でした。ここには昔からきれいな湧き水がでていて、コノハナサクヤヒメはその水を使って皇子たちをやさしく洗ったのだといわれています。
ちなみにコノハナサクヤヒメ、あらぬ疑いをかけてきたニニギノミコトはどうしても許せなかったようで、その後もヨリを戻すことはなかったといわれています。
宮崎県、ひいては児湯郡・新富町は、こうした人間以上に人間くさい神々のおもしろいエピソードがたくさんある場所です。ぜひ一度いらしてくださいね!