二本の手で「I LOVE YOU」。阿萬弘子さんとしんとみ手話サークル
新富町・新田地区。ご主人と2人の息子さんとの4人できゅうりやゴーヤを作るかたわら、「しんとみ手話サークル」の一員として長年活動している阿萬弘子さん。宮崎県社会福祉協議会の登録ボランティアとして、聴覚障害を持つ方の手話通訳なども行っています。
—なぜ手話を始めようと思ったのですか?
昔、脚がちょっと悪くて手術をしたことがあったんです。そうするとやっぱり移動なんかが不便で…。でもその時、看護師さんをはじめ周りの方にとても良くしていただいたんです。
だから、「私も誰かのサポートをしたい、できることはないかな」と思っていたんですよ。
そんな折、平成7年に新富町で初めての手話教室ができました。それを聞いた阿萬さんは早速参加され、翌年にはその教室を前身にした「しんとみ手話サークル」の創立メンバーにもなったそうです。
サークルメンバーは現在18人。毎週火曜日夜7時半~9時まで、実際に聴覚障害を持つ講師を高鍋町から招き、テキストや実践形式での勉強会を行っているとのこと。
耳の聞こえない方が主人公の映画がヒットした時は、一気に10人以上入門してくることもありました(笑)。年齢層も20代~70代まで幅広いし、「手話がやりたい」という同じ目的の元に集まってきますから楽しくやれます。
また、町で唯一の手話サークルとして、町内あちこちで活躍しているそう。
新富町内の富田小学校・新田小学校・上新田小学校では、授業の一環として福祉体験があるんです。その中に「耳が聞こえない」状態を体験する場があるので、そこで手話を教えることもあります。
自分の名前にそれぞれ手の形があると知ると、それを表現するのが面白かったみたいです。毎年楽しんでもらえています。
5年ほど前には、難聴の方が成人されたので、新富町の成人式で手話通訳をしたこともありました。
サークルとしては総合交流センター「きらり」のこけら落としの際、手話で歌を披露したりしています。
サークルのある毎週火曜日がいつも楽しみだと言う阿萬さん。やりがいを見出すことで、充実した毎日を送っているようです。
—何かひとつ、手話を教えていただけませんか?
「世界共通の手話」というものがあります。普通は国ごとに「あいうえお」や「ABCDE」のような指文字があるんですが、「アイラブユー」の手話はどの国でも通じるんですよ。
当面の目標は、やはり「もっと手話が上達すること」と話す阿萬さん。柔軟に動くその手に、無限の可能性を感じます。