養鰻は母親業。声を出さないウナギの成長を見守り、宮崎から全国へ届ける

宮崎県は、鹿児島県、愛知県に次いで、養殖鰻の生産量全国第3位を誇るウナギの産地。中でも新富町は、一ツ瀬川周辺で地下水が豊富に湧き、昔からウナギの養殖が盛んな養鰻の地です。この地で鰻と向き合って50年余りの「中村養鰻場」を訪ねました。朝一番、ウナギのえさやりから見せていただきました。

3万を超えるウナギが一斉にえさへ

朝6時。養鰻のハウスの中は、約30度に保たれ、カメラがすぐに湿気でくもるほどです。一方、えさ練り場では、ウナギのえさの仕込み中。魚粉に、有機カルシウムや魚油を足して練ったものを約10kg分ずつ準備していきます。えさを池に運ぶと、それまでゆったりと泳いでいたウナギたちが、えさ場に一斉に集まってきました。その数、ひと池になんと3万5000~5万匹!中村養鰻場の代表取締役社長・中村哲郎さんは、その様子を眼光鋭く見つめていました。

この、えさを食べる様子を観察するのが大事。よく食べるウナギばかりの池もあれば、最初は食いつきがいいのに、最後まで食べきらないところもある。どのくらいえさをやればいいか、池によってかなり違うでしょう。

よく見ていると、確かに、同じ月齢のウナギでも、えさの減る量が違うのです。

エラの張り具合とか、尾まで身が入っているかとか、そういうところを見ているんですよ。

全部で約100万匹ものウナギを、こうして育てているのです。

土用の丑の日に向け、約7カ月が勝負

ウナギの出荷は、夏の土用の丑の日がある7月に向けた出荷がほとんど(今年は7月20日です)。11・12月頃に稚魚のシラスを仕入れ、約7カ月近くで、理想のサイズ、肉質を目指していかに育てていくかは、それぞれの養鰻業者の腕にかかっています。

集中してガッと太らせる。どの月齢でどれぐらいの体重にしていくか。体重管理はかなり技術が必要です。

柔らかく、脂がのったウナギになるように、そして病気をしないように心を配って育てていきます。今年は、シラスの入荷が少し遅れたのだそう。

いつもより1週間早く、ベストなサイズにもっていくのは、大変なこと。でも、クリスマスのケーキと同じで、ウナギはやっぱり土用の丑とお盆。ここは逃せないでしょう。

自分の子どもよりよく見ているかな。人間の赤ちゃんは声を出してくれるけど、ウナギは見てないと、どうしてほしいのか分からない。母親業ですよ。

直接販売する丼店を電話で開拓

中村養鰻場は、全国各地の丼店などに直接出荷もしており、ウナギを水や氷と一緒に袋に入れ、酸素を注入して、春から夏にかけては毎日、注文分を箱に入れて発送しています。養鰻業者が自社から直接卸すのは、とても珍しいこと。そこには「ニーズを知りたい。消費者の顔を直接、見て、目指す方向を決めたい。」という強い意志がありました。

東京でコンピューター関係の仕事をしていた中村さんは、2000年に帰郷しました。日本のウナギが海外の安いウナギに押されていた頃です。問屋さんとだけの付き合いではなく、直接やり取りできるパイプを作ってもいいんじゃないか。丼屋を中心に、1軒1軒、電話帳をめくって電話で話をしていったといいます。今では200軒以上もの店舗に直接納めるほどになりました。

消費者の一番近くまで、直接届けたい

さらに昨年から新たな挑戦を始めています。オリジナルブランドの加工品「味鰻(あじまん)」を開発、販売を始めました。「この人が作ったから安心」と胸を張って届けるウナギを、真空パックで冷蔵したかば焼きは、「ウナギの旨みが味わえるようにこだわった」という渾身の逸品です。しっかりと弾力のある肉厚なかば焼き。タレはウナギの脂の甘みが引き立つように味付けされています。

一ツ瀬にウナギが上ってくるということは、ウナギが好きな水質、環境ということ。その水で、川に近い環境で育てているのが、新富のウナギの強み。もっともっと知ってもらわないといけないよね。宮崎空港でもバンバン売ってほしいぐらい。

「宮崎といえばウナギ」という誇りを持って、これからも、わが子同然のウナギを全国に送り届けます。

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