

食物繊維は白米の20倍!「新富産もち麦」は、町でたった一人の挑戦者から
宮崎県新富町でただ一人「もち麦」作りに挑戦する男がいます。30町の農地を経営しながら4人の娘を育てる比恵島学さんです。
もち麦とは
もち麦とは、大麦の一種で粘りが強くβ−グルカン(水溶性食物繊維)が豊富に含まれている食物です。カルシウムや鉄分、カリウムなどの栄養素も多く含まれており、特に食物繊維は白米の約20倍あります。
もち麦には血中コレステロールを正常化する作用や、腸内フローラの改善、満腹感の持続作用など身体によい効果が報告されており、ダイエットやガン予防にも期待できると言われています。
古くは瀬戸内海地域で多く作られていましたが、近年はほとんど作付けされなくなっていました。
そんななか、2016年頃に多くのメディアがもち麦の健康効果を取り上げたことで大幅に消費量が拡大しました。急な需要増に対応するためそのほとんどが輸入品であり、ようやく品質の良い国産の生産量が徐々に増えてきつつあるという状況にあります。
そんな「もち麦」の可能性に目をつけた比恵島さん。情報を入手した2年前の2016年から作り始めました。
原動力は4人の娘
農家の息子として生まれた比恵島さん。子供の頃から叶えたい夢があったわけでもなく、農業を継ぐ意志があったわけでもないといいます。
「農業高校に進学したけど途中で辞めちゃって、そのあと何年か親戚の下水道屋さんで仕事してたんだけど、早くで結婚したからね。実家に帰って手伝いよったらそれが仕事になってしまった感じかな」
先代から家業を継いだ比恵島さんは、その後どんどん農地を借りうけ規模を拡大させていきました。現在作付け面積は裏作合わせて述べ45町分。新富町では一、二位を争う規模になっているといいます。
きゅうりと米が中心で、その他に小麦や、米粉、蕎麦などを作っており、もち麦はそのうちの3町程度。これら全てを比恵島さん含め8名のスタッフで作っています。
ーー継ぐ意志が強くなかったのに、なぜこうして規模を拡大していったのでしょうか。
「きっかけは娘が4人いるからですね。学費とかいろいるかかるけんね。どんどん土地を借りてやってったら面積が大きくなっていったんよ。本人らは機嫌がいいときくらいしか手伝ってくれないんだけどね」
比恵島さんのもち麦
今年からもち麦の加工商品にも挑戦しています。スタッフが賞味期限のスタンプを押したり、手作りのラベルを貼ったりと一つ一つ丁寧に作られています。
1袋300gで今年は約8,000袋分。スーパーや直売所、ふるさと納税サイトなどで販売しています。
比恵島さんはいつもご飯と一緒に炊いて食べています。お米ともち麦は7:3がおすすめだそう。お腹の調子はすこぶる快調と笑う比恵島さん。その豪快な笑顔もまたもち麦効果なのかもしれません。
私もお米にもち麦を混ぜて食べてみました。プチプチした歯ごたえがあり、口の中にほのかな甘みが残ります。手間もかかりませんし、他の雑穀米に比べてクセがないので毎日続けるには適しています。
新富町の農業に欠かせない存在
そんな比恵島さんは柳瀬地区の有志4名で「柳瀬アグリパラダイス」という農事組合法人を立ち上げ、その代表も務めています。この法人では土地は所有せず、コンバインや乾燥機などの共同利用や、農作業の請負い、籾摺り乾燥業務などで年間約2000万円の売上があります。
15年前、田んぼの基盤整備の話が上がった際に、地域に資する共同法人を作ろうと比恵島さんはこの挑戦を始めました。
これにより、機材を購入する個人投資の負担が減り、作業効率も上がりました。共同組織は補助も受けやすく、町からの委託業務も多くあります。
「ここが仕事を請け負った時に、周りの農家さんにも一部仕事を振っているんです。そうすると農家さんの収入源の一つにもなるから。ここが地域の農家のための受け皿になれたらいい」
新富町にはこのような機能を持つ農事法人は他にありません。比恵島さんの挑戦が新富町の農業に一役買っているのです。
仕事の依頼がきている今でも、比恵島さんは時間を見つけては役場へ出向き情報収集を怠りません。空いている田んぼがないか、今どんな作物が流行なのかを聞いて回っています。
新富町の新たな名産なるか
もち麦のラベル作りをしていたスタッフに比恵島さんのことを聞いてみました。
「社長は情報源をすごく大切にする方なので、常にアンテナを張っています。米などもその年に流行っている品種を耳にしたらすぐに試作をつくって皆に食べさせて反応をみるなどよくします。とにかくチャレンジするんですよね。まあほんと次から次へと」
奇妙な形をしたタコを始めて食べた人類がいるように、いつだって誰かの挑戦が世の中を変えてきました。
チャレンジスピリット旺盛な比恵島さんの新たな一手である「もち麦」。比恵島さんの挑戦をきっかけに新富町のもち麦人気が高まれば、近い将来に新たな名産品になるかもしれません。
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