宮崎県新富町に来たらとにかく「鶏めし」と「新富そば」を食べるべし
毎年、2月の梅まつりに出店されているのが、地元のむつみ会が作る「鶏めし」と、新富町そば振興会による「新富そば」。どちらのブースからも、おいしそうな匂いが漂ってきて、お腹がへってしまいます。町内のイベントでおなじみの味ですが、梅を見ながらいただく料理は、また格別。常連さんも大勢、買いに来られていました。
それぞれの家の味がある「鶏めし」
消防団のまかない飯として、湯之宮地区で受け継がれてきていた「鶏めし」。大勢の人が集まるときに大釜で炊かれ、それぞれの家庭の味があったのだとか。むつみ会の代表・村岡福代さんは「昔は、味付けは“ベロメーター”だったのよ」と笑います。
おにぎりでいただいた鶏めしは、香りがよく、もっちもち。ご飯ひと粒ひと粒に、しっかり鶏のおいしさが閉じこめられています。ポイントは、餌にこだわったネッカリッチ鶏の鶏ガラでとったスープと、たっぷりのゴボウ。もちろん、米も新富産のものを使っています。
「鶏の脂がお米にまとって、餅米のような食感になるから、それがまたおいしいでしょう」と村岡さん。この日は、なんと8升も炊いたそうです。炊きたてが食べられるのは、町内のイベントだけのお楽しみです。
ご当地グルメ選手権の初代チャンピオン
むつみ会ができたのは平成23年。地元の料理を出品する、市町村対抗のご当地グルメ選手権がきっかけでした。この選手権で、なんと、初代チャンピオンに輝いたのです。
要望に応え、最初は地元のイベントや店だけで出していましたが、いまは冷凍した鶏めしを宮崎空港や東九州自動車道川南パーキング、宮崎市内のスーパーでも扱っています。
「町外に出ると、まだ知らないお客さんもいらっしゃいます。おいしさには自信があるので、もっと知ってもらいたい。新富のむつみ会の鶏めしをきっかけに、新富町のことを知ってほしいです」。
帰省したお嫁さんに振る舞うふるさとの味
次に紹介するのは、新富町そば振興会のみなさんが原料から作っている自慢の「新富そば」です。「天気もよくて、売れ行きもよかった」とほくほく顔の会長・吉岡喜徳さんにお話をお聞きしました。
「新富のそば生産の歴史は古いんですよ。明治時代には作っていたそうです。昔は、年末、嫁ぎ先から実家に帰ってきたお嫁さんに、そばを振る舞っていました。田舎で楽しみがないでしょう。それで、冬まつりをして、そばを出していたんです。ふるさとの味ですよ」。
ふるさとの人の優しさが詰まった味だったとは、この日、初めて知りました。新富のそば、奥深いですね。
打ち立てのそばのおいしさが広がる
現在、そば部会は50人ほどいるそうです。そばは9月に植えて、12月に収穫。花の時季にに合わせて「そばの花まつり」も開催し、そこでも打ち立てのそばが食べられます。梅まつりのときも、イベントで活躍するいつものメンバーが来られていました。前日に打って、つゆも昆布とかつお節から手作り。吉岡さんは「高齢者ばかりだけどね」と話していましたが、分担が決まっていて、みなさんのてきぱきとした動きにも驚かされました。
「新富のそばが定着するまでは、随分、時間がかかりました。粉にして町内で出すことで、付加価値をつけたいと、みんなでがんばってきました。昔から地元にあったものだから、こうやってつないでいます」と吉岡さん。
乾麺も販売していますので、そちらはお土産に。生そばも、イベントや町内の店で、ぜひ味わってみてください!