緑茶のエスプレッソ、重厚感のあるお茶の秘密とは ~夢茶房 安積一仁さん~
新富駅へ向かう夕暮れ時、はじめて聴く大きな音に足がすくんだ。
ゴオォォォ!!!!
何事かと思ったが、
見上げると航空機が飛んでいた。
そうだ、新富町には航空自衛隊基地があると言っていた。
ここでしか起こりえないステージ
「このガラスがですね、プルプルプルプルってふるえるんです。そのフェンスの向こうがもう滑走路なんで・・・(笑)」
後日、新富町に本店を構えるお茶屋さん「夢茶房」を取材させていただくことになりました。
新富町にある航空自衛隊新田原基地(にゅうたばる)の滑走路の目の前には、約6へクタールにわたり茶園が広がっています。
夢茶房さんの自社農園です。
そこでは日々、戦闘機の爆音が間近で鳴り響いており、夢茶房さんのお茶は、そんなここにしかない特殊な環境で作られています。
「お茶ってなにも言わないんですよね。だから直接どうなってるかは知る由もないですけど・・・やっぱり植物って刺激に、、音であったり、触れることであったり、水の多いとき、雨の少ない多いに影響されるじゃないですか。だから、少なくとも『ここでしか起こりえないステージ』というのはあるのかな。」
爆音効果について、三代目店主の安積一仁さんはこう話してくれました。
じっくり蒸したお茶のエスプレッソ
「日本茶というのは生の葉っぱを摘んできて、それを最初に蒸して、ゆっくり飲みながら乾かしていくとお茶になる。うちの場合は、摘んできたお茶を最初に普通よりしっかりじっくり蒸します。」
じっくり蒸して、揉みながら乾かすことで「深蒸し茶」というお茶になり、どっしりした味がするのだそうです。
重厚感のある深い緑になるように深く蒸すことで、色や香りは失われてしまうという欠点はあるけれど、お茶のコクが出てくるのだそう。
しっかりと蒸すためには、力強いお茶っぱである必要があります。
「爆音聴いとるけん、強いっちゃね」
と安積さんは笑って話されました。
たしかに出していただいたお茶は、濃い色ではなかったけれど、ほんとうにしっかりとした味がして美味しかったです。「お茶のエスプレッソ」という表現をされているのも頷けます。
「おいしいお茶」というものを久しぶりに飲んだ気がしました。
夢茶房さんでは「力強さ」にこだわり、さらに有機肥料を主体に化学肥料を使わず減農薬で育てているのだそう。
ふだん珈琲ばかり飲んでいた私も、「深蒸し茶」の魅力に惹かれ、さっそく購入して帰りました。
夢茶房の店内には、さまざまな種類のお茶が並んでいました。
店内のPOPや、商品のパッケージは、安積さんがご自身で描かれているのだそうです。
当たり前の日常に、お茶があってほしい
「お茶って、人がおってるんですよね。テーブルがあって、そこに人がおって、でかい急須が置いてあって、それを飲みながらコミュニケーションをはかるっていうような光景って、昔は当たり前にあったんですよ。」
そこに当たり前にある、日常にある「お茶」。
コミュニケーションを円滑にする「お茶」。
日本人がもともと持っている食文化のひとつ。
昔のように「当たり前の日常に、お茶があってほしい」と、安積さんは語ります。
「今は自動販売機ですぐ買えてしまうけれど、コミュケーションが薄れていく危機感は感じています。」
今のライフスタイルに合わせながらも、昔ながらのお茶の在り方を忘れない。そんなお茶づくりを模索しているのだそうです。
お世話になったあの人に、特別なお茶を
安積さんが自身で描いているというポップなパッケージのお茶が並ぶ商品棚に、ひときわ目立つ高級感のある商品がありました。
こちらの夢茶房さんの深煎り茶と八女玉露のセットは、新富町のふるさと納税の返礼品ともなっています。
(宮崎では玉露はできないらしく、福岡県八女産の玉露とセットになっています)
このセットは、「ちゃんとお返しをしたい」「ちゃんと挨拶をしたい」という方向けにパッケージにもこだわり、高級感のあるものにしているのだそう。
「ご自分用よりは、進物用やお世話になった方にご挨拶でお使いなられる方が多いですね。中でも、間違いない高級感、重厚感のある商品です。」(安積さんより)
贈答品をお探しの方。新富町のふるさと納税を利用して、爆音を聴いて力強く育った特別なお茶を、お世話になったあの人に送ってみてはいかがでしょうか。