• 2018.07.31

ぬか漬けで旨味ぎゅーっ!


宮崎県児湯郡新富町。

太平洋に面したこの町に、ぬか漬けの伝統を守り続ける漬物の生産会社「キムラ漬物宮崎工業株式会社」があります。
   同社 木村昭彦社長に、キムラの漬物の歴史、米ぬかで漬けた漬物の良さなどを語っていただきました。

商品豊富なキムラの漬物

愛知発・宮崎育ち

   戦後間もない昭和26年、愛知県渥美半島で『キムラ漬物株式会社』が産声を上げました。
「渥美半島では当時大根づくりが盛んになった。冷蔵庫もない時代で何かいい活用方法をと模索し、行き着いたところが漬物だった。ぬか漬けでね。それを行ったのが私の祖父、 このグループの創業者の木村保雄氏です」
と、木村昭彦氏は笑顔を見せながら語りました。『キムラ漬物宮崎工業株式会社』現代表取締役社長です。
『キムラ漬物宮崎工業』は、昭和47年に愛知の本社から分社されました。 昭彦氏が30歳になるころ、生まれ故郷の愛知県渥美半島からここ宮崎県児湯郡新富町に移り住みました。
「愛知にいた小さい頃は両親はほぼ毎日仕事でしたので、ご飯もなかなか一緒に食べられず、叔母の世話になっていました。1年に1回だけ夏休みに家族旅行に行く事が家族の思い出。私も小学生になると小遣い稼ぎでたまに工場を手伝っていました」
   キムラ漬物の歴史は、木村家族の歴史そのものなのです。

カメラが趣味という木村昭彦社長

干し大根とサーフィン

    ところで気になるのが宮崎県新富町に漬物工場を創業した理由です。 愛知県と宮崎県。 何か共通のものがあるのでしょうか。
「干し大根を生産するのに適していた地域だというのが大きい理由です。干し大根は、通常 11月から2月にかけて作るんですが、雪が降ると大根が凍り、雨だと乾かない。同じ宮崎県でも田野・清武地区から西都地区、新富・高鍋地区までが主な産地なのです。
   雪も降らず、雨も少ない。しかも太平洋からの風通しもとても良い。愛知県渥美半島も太平洋に面しているでしょう。新富町とも気候とか海岸線の雰囲気がよく似ているんです」
 愛知県渥美半島も宮崎県新富町も気候も温暖です。海岸線も長く、サーフィンのスポットです。
 両地は干し大根と太平洋とサーフィンで繋がっているのです。

漬物とサーフィンは繋がりがあった!?

キムラのぬか漬けは発酵食品

「最初は愛知の会社でやっていた “海風で干す”というノウハウをそのままこちらでやっていたんです。その後宮崎ならではのアレンジを加えて行きました。大根の品種も愛知県では徳島県原産の大根ですが、宮崎では違うんです。土も愛知が赤土に対して宮崎では黒土です。干し方も愛知では大根を洗わずに干していたのが、宮崎では洗って干すのが元々この地方に伝わるやり方なんですよね」
    さらにキムラの漬物はぬか漬けです。南九州はつぼ漬けと言われる醤油ベースの製法が主流だといいます。 このような背景の中、たっぷりの米ぬかで漬ける「ぬか漬け」という伝統を今に受け継いでいるのがキムラの漬物の強みです。
「ルーツが愛知というのは宮崎では珍しいよね。昔ながらの天日干しでぬか漬け。ぬかで発酵させるという本質を伝えていきたい。発酵食品なんですよ、ウチの漬物は。」
   ぬかは玄米を精米する際に出る残りの部分です。大根は天日干しすることで旨味・甘みが凝縮し栄養価が倍増します。ぬかに天日干しの大根を漬け込む事で、もともと大根についていた植物性乳酸菌が増えます。この菌が出す酵素により大根が発酵します。植物性乳酸菌は動物性に比べて腸に届きやすく、体にはとても良いのです。
ふるさと納税の返礼品としてキムラ仕込みのぬか漬けを体験できるキット「はじめての熟成ぬか床」があります。このぬか漬けで発酵食品としての漬物の美味しさが体感できます。また熟成ぬか床と一緒に、米ぬかで二度漬け(通常は一度漬け)された沢庵やぬか床で3年もの間発酵熟成させた昔なつかしい味の沢庵がセットされています。噛めば噛むほどに旨味のある味わい深い沢庵です。

ふるさと納税返礼品 B-8【発酵セット】玄人向け漬物(ぬか床セット付)【3,000pt】

キムラと農家さんとの信頼関係

年間1000トンを超える大根を受け入れ、漬け込み、ぬか漬けの沢庵として世に出している同社。
「自分達より生産量の多い企業はたくさんあります。しかしながら私達は積極的に催事などの現場に出て直接試食販売を行って地道に売って来ました」
試食販売で多くの人にキムラの漬物の味を食べてもらいます。キムラの美味しさは一目、いや一舌瞭然です。キムラ漬物にはその自信とプライドがあります。木村社長はしみじみとこう言いました。
「何と言っても農家さんあってのキムラです。農家さんとの信頼関係が全てです。大根を干す時は男性が地面から大根を上げ、櫓の上の女性が大根を受け取り、掛ける。大根を上げる男性に掛ける女性。これを何度も繰り返し、巨大な干し大根の櫓が完成します。干し大根を作る手間は大変で、天候にも左右されるけど、地元の農家さんのおかげで美味しい1本のたくあんに繋がっているのです。」

干し大根の櫓。秋から冬にかけて行われる。

【取材した新富町ふるさと納税返礼品】
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