宮崎名物・大根やぐらの秘密に迫る
早速ですが、みなさん。「大根やぐら」って知っていますか?
もしかすると、テレビなどのメディアを通じて、ご存知かもしれません。
一度目にすると、なかなかの衝撃で忘れられないのではないでしょうか?
農家のお父さんお母さんが協力して、あんなにも巨大なやぐらを組み、大根を干す姿。(なんと!6メートルほどもあるそうです!!)「すごいなー!」と感心しつつ、大変な体力のいる作業。そして、夫婦・家族の共同作業。なんだかその光景が、素敵に思えてきませんか?
それが宮崎の原風景であり、冬の風物詩でもあります。
そんな大根やぐらに干された大根ですが、何になるかってご存知ですか?
(もちろん!)大根の漬物、「たくあん」になるんです!!
そして今回。その「たくあん」を作られている、
【キムラ漬物宮崎工業株式会社】の木村昭彦さんにお話をお聞きすることができました!
たくあん専門の漬物やさん:キムラ漬物宮崎工業株式会社
かつて、大根の一大産地だった愛知県の渥美半島。そこにキムラ漬物宮崎工業さんのルーツはあります。昭和26年に愛知県で創業されたキムラ漬物グループは、原料となる大根の産地であった宮崎県新富町にも拠点をと、昭和47年に創業されました。
伝統的な「米ぬか発酵製法」を今もなお引き継いでおり、今もなお、昔ながらのシンプルなたくあんを手間暇かけて作っています。
社長である木村昭彦さん。
木村さんのルーツも同じく愛知県。そして、29歳の時に新富町に家族で移住されました。そんな木村さんに新富町のこと、干し大根のこと、たくあんのことをいろいろと聞いてみました。
溢れる 干し大根愛
「うちの漬物は基本的に大根だけ。」
木村さんは、新富町内の4軒の農家さんと田野の業者さんから干し大根を仕入れており、ほぼ大根の漬物「たくあん」だけを専門に作られています。その大根もまた、漬物専用の大根で、漬物に適した理想的な大根を使っています。新富町周辺のものは「日向理想大根(ひゅうがりそうだいこん)」というそうです。(そのまんまの名前!)
そしてその干し大根は、あの巨大な「大根やぐら」で、農家さんたちが気象状況をみつつ、毎年11月から2月ごろまで干しています。一回に干す期間は約2週間。その間は、雨が降るとなると、ブルーシートでやぐらを覆い、また、寒くなると一晩中ストーブを焚いて・・・農家さん全力で大根を守っているんです!一年で一番寒い時期の作業ですので、本当に大変だろうな・・・と、私たちにも容易に想像できますよね。
そんな農家さんに対して、加工業者である木村さんは、大いなるリスペクトと愛を持っていらっしゃいます!
そもそも、私は大根に漬物専用の大根があるなんてことを知らなかったし、干し大根についても、農家さんがすべて、自分たちでやぐらを組んで干しているなんていうことも知りませんでした。
さらに、今の多くの人たちは、加工されたもの、スーパーにおかれたもの、“そのもの”しか目にする機会がなくなってしまっています。作られたり、そだてられる段階や過程を見る機会はほとんどありません。
高校生が「たくあんが大根だということを今まで知りませんでした。」と言っていたんです。と木村さんがおっしゃっていたことにはじめは驚きましたが、そう思ってしまうのも、今のご時世では無理ないのかもしれません。
日本に今まであった、「生活文化」。おばあちゃん、お母さん、私と受け継いでいくべきだったもの。それがどこかで途切れてしまった現代。
そんな中、家族や地域の人と助け合って何かをすること。効率だけでなく、手間暇をかけることの大切さ。木村さんの話を聞いていると、新富町には古き良き日本の文化がまだ根付いているように感じました。目に見えて繋がりのある新富町だからこそ、なのかもしれませんが、結果だけでなく、過程を大切に。つながりを自然と大切にする。そんな関係性が息づいています。
大根やぐらは愛の証
「大根のやぐらができるっていうことはね、家族・夫婦が円満だっていうことなんですよ。」木村さんが教えてくれた大根やぐらの秘密!正直、はじめは意味がさっぱりわかりませんでした!
「あれって、上の方が通気性がいいから、重い大根から上に干すんです。だいたい上に登るのは、女性のお嫁さんかお母さんで、そして男性の息子さんかお父さんが大根を下から渡す。息が合わないとうまくいかないですからね。家族の仲がうまくいっていないと干し大根農家はできないですよー。」
と木村さん。
なるほど、なるほど!
さらに、「干すのは年末年始だから、旦那さんは用事も多くて留守がちになっちゃうし、そうなったら奥さんはじめ家族でサポートしないとだからねー!」
とも!おもしろい!!
「生産者さんは本当にすごいですよ。知恵を持ってらっしゃいます。そんな生産者である農家さんの努力や苦労を伝えていくのが私の役目だと思っています。そういうのをもっとわかってもらえれば、消費者の方々にも価値をわかっていただけますからね。探してでも買おうという気持ちになりますよね。生産者と消費者の橋渡しというか、通訳のようなことをする人も必要なんですよ。」
木村さんのこんな言葉を聞いて私は本当に胸が熱くなった。
手間と時間をじっくりとかけられて作られているキムラ漬物宮崎工業さんの漬物。
どの工程においても愛を感じられます。
実際に、何かの価値を伝えるということは、実は非常に難しいことだと思いますが、木村さんの言葉の端々には愛情たっぷりの「たくあん」の魅力が詰まっていました。
大根やぐらの”たくあん”を食べよう!!
HPからのお取り寄せはもちろんですが、ぜひ新富町の工場の直売でご購入されてみてはどうでしょうか?「たくあん」は、迷ってしまうほど、たくさんの種類があるので、ぜひお気に入りを見つけてみてください。手作りならではの味を楽しめます!そして、その際には、木村さんにいろいろ聞いて購入されることをおすすめします。(私は3種類のたくあんを購入して帰りました!)
ソムリエのごとく!あなた好みの「たくあん」を教えてくれますよ!
【キムラ漬物宮崎工業株式会社】
アクセス :宮崎県児湯郡新富町大字上富田8935
ホームページ:http://kimura-tsukemono.com
※オンラインショップ、工場直売店あり。
TEL (0983) 33-1211(代)
FAX (0983) 33-4843