相馬まち子さんに聞く「楽しい!」を原動力にしたボランティアとは?

有償ボランティア・たすけあい「蓮」のメンバーとして、町のボランティア活動に幅広く関わっている相馬まち子さん。日向新富駅そばの「新富ふれあいの居場所」で取材を受けてくださいました。


日向市出身の相馬さんは、21歳の時、結婚を機に新富町へやってきました。「結婚して34年。子供も3人いるし、もう新富にいる時間の方が長いです」と笑います。

―この活動を始めることになったきっかけは?

当時はずっと保育士として働いていました。子供が生まれて、産休が明けたらまた保育士に復帰しようと思っていたんですけど、「別方面のことをやってみようかな」と介護の世界へ飛び込みました。

その後、相馬さんは特別養護老人ホームで経験を積んで在宅介護のケアマネジャーとして働き始めます。

その頃から、新富町も高齢化が進み「地域ぐるみで見守りをやっていかなきゃいけないよね」という話がよく仲間内で持ち上がっていたんです。
その話に参加するうちに、「地域で、私にもできることはないかな?」と思いました。

そして、平成26年10月からスタートした新富町主催の「みんなで考える会議」に参加。勉強会を重ね、「赤ちゃんから高齢者まで住み馴れた場所で安心して暮らせたらいいな」と任意活動団体「みんなの幸せネットからふる」が発足し、30年1月に日向新富駅近くに「新富ふれあいの居場所」を開所しました。

平成28年からは生活支援コーディネーターとして活動している相馬さん。
「みんなの幸せネットからふる」のメンバーの一人として居場所の運営に携わりながら、町内に住む人のちょっとした困りごとを地域の余っている力とマッチングさせる、住民同氏のたすけあい活動「たすけあい蓮」の事務局も担っています。

新富ふれあいの居場所は、いつでも、だれでも、話しても、話さなくても、笑っても、泣いても、寝ててもいいところです。表に鯉のぼりを揚げていると、一人でおうちにいる方がやってきて、何をするわけでもなくおしゃべりして帰ります。
火曜日・木曜日は開いていますが、中でも木曜日はたくさんの高齢者が来られ椅子が足りないくらい賑わっています。やっぱり皆さん繫がりを求めているんでしょうね。

学校帰りの小学生が宿題をしにくることも

―活動をする中で、大変なことはありますか?

住民の皆さんが主体なので、私が主体ではないと意識してもらうことが大変ですね。
「新富ふれあいの居場所」は、誰かのものではなく「地域住民みんなの居場所」ですよね。先頭に立っていろいろやってしまうと、どうしても「何かあったら相馬さんを呼ぼう」という空気ができてしまいそうになるので、そこは気を付けています。

―ボランティアの楽しさって、どんなものでしょう?

これは本当に、活動をした者でないとわからないうれしさがあります! こんな私でも「自分を待っててくれる人がいる」という気持ちがやりがいに繋がっています。
それから、誰かの家にお手伝いに行った後、一緒に行ったボランティアさんが「あの人どうしてるかな」と気にかけるような人と人の繫が生まれるのも嬉しくなりますね。

感動する場面にもたくさん立ち会えます。

ある方の家へ片付けのお手伝いに入った時、その方がボランティアさんを見てびっくりされたんです。話を聞くと「ずっと会っていなかった幼馴染だった」って大喜びで仰るんですよ。その方は病気で気落ちされていたのですが、お友達に会えて一時でも気持ちが晴れたのならよかったと思っています。

―今後はどんな活動をされる予定ですか?

9月からは上新田地区でも私たちが行ってきた住民主体の勉強会をスタートしようと思っています。この地域にも誰でも立ち寄れる居場所が開所できればと思いますが、まずは上新田地区の地域の課題を住民さんと考えることからです。

今後は、居場所へ来られない地域の方へは、お茶と折りたたみ椅子を持参し、日当たりのいいところでオープンカフェ形式の「出張ふれあいの居場所」を仲間とやろうかな、なんて考えています。

今後、ますます進む少子高齢化・人口減の中、赤ちゃんから高齢者まで誰でも気軽に立ち寄れ「ホッとできる場所」と地域住民同士の「たすけあい活動」が求められると思います。

30年5月、新田地区にできた新しい居場所「はれる家」の設立にも関わった相馬さん。あたたかな地域づくりへのチャレンジはこれからも続きます。