ぬか床と子育てに意外な共通点!?『発酵を語り、ぬか漬けを語る〜今日から始める発酵ライフ〜』レポート

2019年9月27日、新富町総合交流センターきらり内のキッチンスタジオにて開催された、少人数対象のランチ付き講座『今日からはじめる発酵ライフ』。企画したのは、同センター内のカフェ『Café Kiitos(キートス)』の緒方生寿恵(いすえ)さん。

生寿恵さん自身ぬか漬けが大好きで、毎日の食卓にぬか漬けを並べているそう。「ぬか漬けは美味しいし、食べ始めてから体が本当に調子よくなりました。発酵食品がどうして体にいいのか、ここで学んでもらって、皆さんの生活にも楽しく取り入れてもらえるといいなと思っています」。

主催者の緒方生寿恵さん

その思いを受けて、講師を務めるのは新富町の『キムラ漬物宮崎工業』社長、木村昭彦さん!

大根やぐらで天日干しした干し大根を使い、塩と米ぬかを使った伝統的な工法を守りながら、美味しくて体にいい発酵食品である漬物を生産しています。漬物のプロから発酵、そしてぬか漬けを学べるとあって、町内外から発酵に興味をもつ女性14人が集まりました。

「発酵」で栄養価・保存性・抗酸化作用がアップ!

講座は、「発酵とは?」という基本からスタート。スクリーンにテキストを映しながら、木村さんの分かりやすい説明で発酵について学びました。

「キムラ漬物宮崎工業株式会社」社長の木村昭彦さん

アルコール発酵、乳酸発酵、納豆発酵、酢酸発酵、アミノ酸発酵など、いろんな種類の発酵があります。

「発酵」の反対は「腐敗」。変化が人間にとって有益な場合が「発酵」、変化が人間にとって有害な場合を「腐敗」と言います。

ヒトは昔から菌と共生して生きてきました。体の中でもっとも菌が多いのは「腸」で、100種類以上、100兆個以上もあると言われるほど。栄養素の消化吸収機能、有害物質のバリアー機能、食品の情報を伝えるシグナル伝達変換機能などの働きがあり、「腸は第二の脳」と言われるほど体を支配する場所なんです。

体を外的から守る免疫細胞。自然免疫と獲得免疫とがありますが、生まれながらに持っている自然免疫がしっかり働くことで、獲得免疫を獲得しうまく作用します。免疫力と大きく関係する腸の環境を良くすることが、免疫力アップにつながります。

そのためには、産まれた時に母親の初乳を飲む、ストレスを減らす、普段からウイルスや細菌の微生物とつき合う、規則正しい、リラックスした生活を送る、

そして一番に、

「免疫力を高める食品を摂る」

ことが大切です。

発酵食品、特に日本人が昔から食べてきた“ぬか漬け”は、まさに免疫力を高める食品なんです。

細胞が元気で健康であるには、免疫力を高める食品を摂りましょう

ニッポンの伝統的発酵食品『ぬか漬け』

コメの栄養素の約8割が、白米ではなく米ぬかに含まれているって知っていますか? ビタミンC、ビタミンB群やミネラル分が豊富な米ぬかの糖分を、大根など野菜に付着している乳酸菌が食べて増殖。そのときに乳酸を出し、周囲のpHを下げて酸性になり、他の雑菌を減らしています。

大根のぬか漬けのビタミンB1は、生の大根の約10倍! 加熱調理不要なので、熱に弱いビタミンB1をそのまま摂取することができます。

これが、ぬか漬けは「乳酸菌&栄養の宝庫」と言われる所以です。

米ぬかは乳酸菌&栄養の宝庫!

発酵食品に含まれる乳酸菌など体にいい菌を摂取することで腸内環境を整えると、免疫細胞が活性化されて免疫力アップ! ストレスを減らして笑顔で毎日を送ることで、病気に負けない元気な体ができるのですね。

「ビールにも合いそう!」ぬか漬け試食タイム

さてここで、木村さんお手製のぬか漬けが登場。

「どうぞ、みなさん試食してみてください」

たくあんからミニトマトまで、ぜーんぶぬか漬け!

干し大根やキュウリのぬか漬け数種。トマト、オクラ、ゴーヤなど、皿に並んだ色鮮やかな野菜はすべてぬか漬けです。それぞれをゆっくり味わいながら、

「うん、美味しい!」

「へ〜、こんな野菜もぬか漬けに合うんだ」

と参加者たちは味わいながら、驚きと感動を口々に表現しています。

木村さんが自前のぬか床に2日前に仕込んだ野菜。「基本的に野菜は何でもOK。私が漬けたのは、全部直売所(ルーピン)で買った新富取れの新鮮な野菜です」と話す通り、漬物とは言えとてもみずみずしく、野菜の味を残しながらぬか漬けならではの酸味と旨味が絶妙です。

参加者と直接ぬか漬けについて会話する木村さん

「これはビールに合うよ」「ワインにもいいかも!」

ぬか漬けを味わいながら、和気あいあいとした雰囲気のなか、質問も飛び交います。木村さんは一人ひとりの疑問に答え、さらにプラスαのアドバイスも。試食の後は、木村さん持参のぬか床を間近で見ながら、「ぬか床の作り方」講座が始まりました。

ぬか床は温度変化を嫌うので冷蔵庫で保管してください。毎日かき混ぜなきゃいけないと思われがちですが、そんな必要はありません。混ぜる理由は、上部にいる酵母菌、真ん中辺りにいる乳酸菌、底の方にいる酪酸菌を均等に育てて行くため。混ぜるときは上下を返すように混ぜ、ポンポンとたたいて空気を抜いてから表面を平らにならします。

子育てと一緒で手をかけすぎても良くない。ちょっと適当なくらいがちょうどいいんです(笑)。

その後も、ぬか床を育て、ぬか漬けを上手に作るポイントや、トラブル時の対処方法などを紹介。

「以前、ぬか漬けに挑戦したけれど、水っぽくなり『ダメにしてしまったかな』と思い処分してしまいました。今日の話では、いろんなぬか床の状態に合わせた対処法があることがわかりました。ぬか漬けにもう一度チャレンジしてみたいですね」とは、ある参加者の声。

ぬか漬け経験者も多い参加者たちは、自身の経験を思い返しながら、うなずいたり驚いたり。ぬか漬けの魅力に引き込まれている様子でした。

座学の後は、発酵食ランチタイム♪

お昼が近づき、お腹も空いてきた頃。今日のもう一つのお楽しみは、宮崎市佐土原町で素材にこだわった体にやさしい料理を提供する『DACOTA』特製の発酵食ランチ! 「食材はもちろん、調味料まで天然素材にこだわっています」と話す倉持わかなさんが、この日のために準備したワンプレートランチです。

ランチを作ってくれた『DACOTA』の倉持わかなさん
すべてに発酵食品を使った、ワンプレートの発酵食ランチ

発酵について学んだ後の、素材からこだわった発酵食ランチ。美味しさはもちろん、発酵食のすばらしさが参加者の心と体に染み込んだのではないでしょうか。

ランチ会場にはキムラ漬物の漬物各種や、初心者向けのぬか漬けスターターキット「熟成ぬか床」、簡単に浅漬けができる「乳酸発酵水」などが並びました。体にいい発酵食・ぬか漬け。無理をせず、手軽なところから発酵ライフを始めてみるのもいいかもしれません。

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●ふるさとチョイス 【発酵セット】玄人向け漬物

ぬか漬け初心者向け「熟成ぬか床」と補充用ぬか床