

JAこゆ牛も本選出品! 「第10回宮崎県肉畜共進会 最終決定審査会」 〜県ナンバーワン牛を目指して〜
8月30日、宮崎県新富町にある児湯郡市畜産農業協同組合連合会(児湯地域家畜市場)に、早朝から続々と集まった肉牛。この日は、約2カ月後に控えた第10回宮崎県肉畜共進会(宮崎県畜産振興協議会主催)に出品する肉牛を選ぶ審査会が行われ、西都・児湯エリアの代表16頭が決まりました。

児湯郡市畜産農業協同組合連合会の建物に併設した児湯地域家畜市場にて審査中
栄誉ある「宮崎県肉畜共進会」の舞台に立ちたい!
「宮崎県肉畜共進会」とは、宮崎県内における肉用牛の資質向上と経営安定を図るため、農家や関連組織が一体となって肥育技術を磨き、宮崎の和牛がさらに発展し販路拡大を実現することを目的として開催されるものです。
この共進会は年に1回だけの開催。地区の代表に選ばれて出品すること自体、肥育農家にとっては1つの目標です。優勝はもちろん、入賞でも出品した牛が高値で取り引きされます。価格だけではなく、肥育農家としての“栄誉”や“誇り”が得られます。これが大きい!
その出場権利が与えられるこの審査会は、県の共進会という大舞台に上がるための予選大会といったところでしょうか。月齢26〜28カ月前後、出荷を直前に控えた40頭の肉牛が集まりました。
今回、JA児湯、JA西都、JA尾鈴のエリアから出品した23軒のうち、12軒が「JAこゆ牛」の肥育農家です。JAこゆ牛とは、JA児湯と3町内(新富町、高鍋町、木城町)の肥育農家が協力して立ち上げたローカルブランド。「新鮮で良質な牛肉が手頃な価格で食べられる」とあって、JA児湯の直売所ルーピンで地元の人たちに喜ばれています。新富町ふるさと納税の返礼品の中でも、売り上げを順調に伸ばしている注目商品です。
獣医師によるスキャニングで霜降り具合もチェック
運び込まれた牛たちは、まずは体重測定。650kg以上850kg未満という規定内でないといけません。1kgでも足りなかったりオーバーしたりすれば、この審査を受けることができません。

1頭ずつ胴体をスキャニングして、プリントアウト。審査を左右する重要な作業です
計重をクリアした牛たちは、獣医師による超音波エコーを使ったスキャニング。一頭一頭胴体にエコーを当てて肉の断面画像を映し出し、肉の厚みや霜降りの具合などを確認します。また、目視や手の感触でも、肉の弾力やモモの張り具合など審査員が細かくチェック。その評価をもとに、県肉畜共進会に出品する16頭が選ばれます。
全頭のチェックが終了した後、1時間以上かけて代表牛決定協議が行われました。
結果発表。JAこゆ牛も本選・県肉畜共進会へ!
審査の結果がまとまり、出品者や関係者がセリ市場内に集合。結果発表を前に、肉質診断を担当した獣医師さんより全体評価が述べられました。
この審査会に5年前から関わっていますが、肉質は格段に上がってきています。今年は牛にとって条件の悪い天候であったにもかかわらず、これだけの質に仕上がっているということは、素晴らしい肥育技術。今回選ばれなかった牛も、大変良い肉牛です。
審査が難航した様子がうかがえる言葉でした。
いよいよ発表。緊張感漂うなか、エントリーナンバーと出品者名が読み上げられました。都農町3軒、川南町1軒、西都市4軒、新富町3軒、高鍋町2軒、木城町3軒。計16軒の肥育農家が本選出場決定です。

審査により代表として選ばれた16軒の生産者(と出品する牛)が発表された
その中で、JAこゆ牛肥育農家は7軒。丹精込めて育て上げられた7頭のこゆ牛が、本選に西都・児湯代表として出品され、肉牛枝肉部門100頭の中で県ナンバーワンの座をかけた舞台に立ちます。
昨年、県のナンバーワンに輝いた肥育農家は、新富町でこゆ牛を肥育する「(株)壱岐ファーム」。同社の牛も代表の1頭として見事に選出されました。前回チャンピオンとして、今年はどんな牛を出品してくるかと注目されることでしょう。
レベル高く期待大! 高評価で地域によき“風”を
牛たちがトラックに積まれ、会場の片付けが進むなか、この審査会の運営を担当する児湯郡市畜産農業協同組合連合会の指導販売部係長・河野佳人さんに話を聞きました。
—今日出品された牛たちは、どうでしたか?
スキャニングにより肉質の良さがわかり、驚きました。県の共進会でも上位入賞が期待できると思いますが、他のエリアもクオリティー高く仕上げてきていますから、戦いは厳しいです。
—児湯畜連としては、県の共進会に向けてどのような期待を抱いていますか?
もちろんチャンピオンは欲しいですけど、一方で狙っているのは“団体賞”。西都・児湯から出場する牛全頭が平均して高い評価を受けて、今後さらに地域全体が盛り上がっていくことを期待しています。
本番の「宮崎県肉畜共進会」は10月23日、都城市高崎町にある株式会社ミヤチク高崎工場にて。西都・児湯に良き“風”を吹かせることはできるでしょうか。結果は後日報告予定。