ナシにブドウ、赤いキウイまで。小さな観光農園が教えてくれた奥深い果物の世界
4月中旬にうかがった都農町の「太陽農園」は、ブドウや梨、キウイ狩りができる観光農園です。取材の日は、キウイフルーツの受粉作業の真っ最中。ここには、とある珍しいキウイがあるのです。収穫は10月頃なのですが、どんなキウイなのか、待ち遠しくてたまりません!
中が赤いキウイが気になる!
ウワサのキウイを訪ねてやってきた「太陽農園」。河野博美さん、猛さん親子が迎えてくれました。かわいらしいキウイの花に、雄花を手でトントンと小気味いいリズムで付けながら、受粉していきます。この日に受粉させていた白い花は「ヘイワード」という品種です。スーパーで見かけることの多いキウイがこれ。ウワサのキウイの花は、ひらひらとフリルのある黄色い花でした。その名は「レインボーイ」。実の中心に赤い輪が入る鮮やかなキウイなのです。
レインボーイの苗を植えたのは約10年前。「息子は中学時代に長距離ランナーで、キウイはビタミン豊富だから朝食べるといいと聞いて。それで植えて、食べさせていたんです。それを果実狩りのお客さんにも食べてもらったら、これはおいしい!って喜ばれました」と博美さん。
ほかに、黄色い「東京ゴールド」や珍しい「香緑(こうりょく)」という品種も作っています。甘みがピカ一なのはレインボーイ、そして東京ゴールドは「さすが東京と名が付いてるだけある」と言うほど、おいしいそうです。ちなみに、博美さんの好みは「ちょっと酸味のあるヘイワードか、レアな香緑」、猛さんは「食べ続けてきたレインボーイ」とのことでした。
キウイ狩りが楽しめるのは10月頃から。たわわに実ったキウイから、好みの種類を自分でとって味わえます。すぐには食べられないため、リンゴと一緒に袋に入れて完熟させるといいそうです。時期に入ると「赤いキウイがあるって聞きました」と言って来られるお客さんも多く訪れます。
戦前、梨の栽培からスタート
太陽農園は、元々は梨からスタートしました。戦前から栽培していて「戦争のときにあった木がまだなんぼか残っちょるね」と博美さん。戦後、ブドウを植え始め、ちょっとずつ広げていきました。いまはブドウが主力です。梨は台風で実が落ちることも多く、剪定も手がかかるのだそう。梨は7月末から11月まで、収穫時期をずらしながら、幸水や豊水、秋月、新高など7種類を植えています。
毎年、収穫の最盛期はお盆前ぐらいからです。ブドウ、梨、キウイと続きます。ブドウは贈答用の注文が多く、お中元に間に合うように出荷しなければいけません。一番人気はシャインマスカット。皮ごと食べられて種がない品種が人気といいます。「シャインの青に、黒いピオーネと赤いクイニーナを添えるとかっこいい。赤が入るとグッとくるね」。
小さな花が咲いたばかりのブドウ。水分が多いと実が割れてしまうためハウスで育てています。サニールージュやハニービーナス、雄宝(ゆうほう)などの品種があり、ブドウ狩りが楽しめるのはお盆明けからです。
「明日もがんばろう」と思ってもらえるように
狩るときに、ちぎり方を教えてくれたり、完熟している果実を教えてくれたり、お客さんの強い味方が長男の猛さんです。8月の夏休み中は、特にお客さんが多く、1対30で教えることもあるといいます。
猛さんは、帰郷して6年目。地元の農業高校を卒業後は、岡山県の観光農園で働いた経験があります。「高校も実践経験ほどは勉強にならなかったのが正直なところです。観光農園では、自分ならこうしていきたいというイメージは描くことができました」。
一つ一つ、経験しながら果実と向き合っているところですが「いろんな人が珍しがるので、観光農園としてはキウイは面白いですね」と話します。「果物はし好品なので、楽しみで食べるものだと思います。だからこそ、おいしいものを食べてもらうことで生活が潤って『明日もがんばろう』と思ってもらえるように、おいしい果物をつくっていきたいです」と猛さん。
さまざまな果物を試しながら、家族で経営する太陽農園。休憩所やバリアフリーのトイレなど、みんなに楽しんでほしい、おいしく食べてほしいという気持ちが詰まったアットホームな農園です。この夏、ぜひ訪ねてみてくださいね。
なし・ぶどう狩り 太陽農園
住所/都農町川北1379-2
℡/0983-25-4172
営業期間/8月お盆明け~
※収穫時期については「太陽農園」のfacebookページで確認を
営業時間/9:00~18:00
料金/入場無料。収穫した分を量って支払う