「一ツ瀬川の天然ウナギはとにかくうまいです」~うなぎのかわの~
宮崎県は、鹿児島県、愛知県に次いで、養殖鰻の生産量全国第3位を誇るウナギの産地。中でも新富町は、一ツ瀬川周辺で地下水が豊富に湧き、昔からウナギの養殖が盛んでした。ウナギの目利きが多い土地だからこそ、新富町で食べるウナギはおいしいのです。今回は、町内のウナギの名店をご紹介します。
立て場のウナギはストレスなし
店のすぐ裏の倉庫には、ウナギの立て場がありました。まずは、そこを見せていただきます。「問屋さんから、新富や佐土原、鹿児島産のウナギを仕入れています。南九州産のウナギは出荷の距離が短いので、質がいいと思います」と店主の河野栄一さん。立て場では、かごに入ったウナギがクネクネと元気に動いています。この状態が一番ストレスがないのだそうです。
店は、河野さんの父親が約40年前に開店。ウナギの町・新富の名前を広めてきました。河野さんは県外の大学を卒業してUターン。前職は車の営業マンだったそうです。実家で父親と一緒に仕込みを始めたのが16年前といいます。「継がんといかんとかなぁとは思っていました。子どものころから手伝いはさせられてきて、ずっと見ているので、そろそろかなぁと思って」と笑顔で話します。
白焼きが一番大切なポイント
次は厨房へ。ウナギはその日に使う分だけを朝早くから捌いて、白焼きしています。「父が割いたウナギを白焼きしますが、ここが一番大切だと思いますね。炭火の強い部分、弱い部分を見ながら動かして、6~7分ぐらいの勝負ですね」。
蒲焼きは、注文が入ってから仕上げます。目の前で早速、蒲焼きを焼いてくれました。つぎ足しのタレがたっぷり入った壺があり、何度かタレをつけながら、扱いやすく火力の強いオガ炭で、一気に焼き上げます。厨房いっぱいに香ばしい香り。
うなぎのかわのでは、ウナギ1尾分がのった「うな重」(2900円)をいただきました。蒲焼きとご飯が別々の「うなぎ定食」も人気ですが、蒲焼きとタレがたっぷりご飯にのった「うな重」のリクエストも多かったのだとか。
うな重のほかに、肝串、呉汁、漬物、フルーツ、そしてオリジナルの白焼きのみそ漬けが付いています。「蒲焼きだけだと、どうしても味が濃くなるから。箸休めに考えました」と河野さん。ウナギの脂に甘めのみそがよく合います。これは日本酒と一杯いきたい味です。お茶漬けにも合うと聞いて、それも味わってみたくなりました。
呉汁は、北海道の決まった大豆を取り寄せて作っています。揚げと豆腐が入った呉汁は、これだけで栄養満点。「県外のお客さんが多いので、ウナギに、なんで呉汁?と聞かれますよ」。
米や高菜はなんと自家栽培
実は河野さん、お父様はこの日、お話を聞けなかったのですが、ちょうど田植えの準備の真っ最中。米は自家栽培しているのです。「米が一番手はいりますが父ちゃんの趣味でもあるんですよ。米は1年分を保冷室で保存して、いるほど精米しています。購入すると、いろんなところのいろんな米が混ざって、バラつきますから。店で販売もしていますので、気に入ったら自宅でも食べてほしいです」。
漬物の高菜も、自家栽培です。夏は漬物で、冬は油炒めにして出しています。新富産の野菜で作ったぬか漬けも自家製です。「家族でやってるから。何もかも自分のところで作っていますよ」。
黄金色の天然ウナギもぜひ!
これからの季節、うなぎのかわののもう一つの楽しみが、天然ウナギです。一ツ瀬川でとれた天然ウナギは黄金色をしているのだとか。ウナギ漁が解禁になる4~9月、地元の漁師さんから入ったときだけ出しています。朝、電話をして、入っていた場合は本当にラッキーです。
「川の一番下の方の鰻がおいしい。あまり大きくても、骨が太くて口に当たりますが、この辺りの天然物は、サイズの割に骨が細い。つまり若い。あと脂のある餌が多いので、よく脂がのっています。汽水域の天然ウナギは、超おいしいですよ。味が全然違うと思います。白焼きがうまいですね」と河野さんも思わず熱弁するほどです。「量は入らないですし、利益はありませんけど、面白いですから」とにっこり。
新富の食の魅力、天然ウナギという大物に、お目にかかってみたいです!
うなぎのかわの
住所:新富町三納代2501
℡:0983-33-0540
営業時間:11:00~19:30頃
定休日:月曜(祝日の場合は営業)
P:11台